FortigateのEMAC-VLANを試す

FortigateのEnhanced MAC VLANs(EMAC-VLAN)を試してみました.

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Enhanced MAC VLANsを使った動機

自宅のインターネットでは,ISPからのDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)かStaticでグローバルIPアドレスをインターフェースに割り振ることにより,インターネットへとつなぐことができます.

LANコンセントは一つしかないため,DHCPを使用した場合は,固定ではないグローバルIPアドレスを使う必要がありますし,StaticなグローバルIPアドレスを使うとDHCP側のグローバルIPアドレスを使うことができません.

そこで,仮想的に複数のインターフェースを構成できるEMAC-VLANを使ってみました.

検証環境

  • Fortigate 90d
    • FortiOS v6.0.9 build0335 (GA)

EMAC-VLANの作成

まず,FortigateのGUIにログインをします. 次に,Network -> Interfacesを選択します.

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Interfaces画面

次に,上の[Create New]ボタンを[Interface]を選択します.
選択すると,Interfaceの作成画面が表示されます.
この時に,Typeの部分でEMAC VLANを選択して,Addressing modeをDHCPにします.
物理的なInterfaceと紐づける部分は,wan1を選択します.

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EMAC-VLAN

正常に仮想的なInterfaceが作成されると以下の画像のように,wan1の下にemac-wanが作られます. f:id:yotiyotiaruku:20200606103806p:plain また,emac-wanをダブルクリックすることにより,ISPからDHCPが払い出されているかを確認できます. f:id:yotiyotiaruku:20200606103947p:plain

WANの設定

次に物理的なインターフェースであるWAN1にIPアドレスを設定します.
こちらは,固定のグローバルIPアドレスを使用したいので,ManualでグローバルIPアドレスを設定します.(大半の方はPPPoEだと思います)

SD-WANの設定

上記の設定で,固定のグローバルIPアドレスISPからDHCP経由でプライベートIPアドレスを取得することができます.
このままでは,固定のグローバルIPアドレスからしかインターネットにアクセスしないため,SD-WAN機能を利用して,振り分けを行います.

Network->SD-WANを選択します.
SD-WANを有効化し,SD-WAN Interface Membersに EMAC-VLANで作成したインターフェースとwan1を追加します.

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SD-WAN

最後に,SD-WAN Rulesの設定をします. SD-WAN Rulesにルールを追加することにより,特定のInterfaceからの通信をemac-wanのみに流すといった設定ができます. 今回はinternal2のポートから来たトラヒックemac-wanに流す設定を追加します. f:id:yotiyotiaruku:20200606105126p:plain

これで,通信ごとに違う経路でインターネットにアクセスすることができます. 以下の画像に違うインターフェースでグローバルIPアドレスを取得した結果です.

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各インターフェースごとのグローバルIPの結果

最後に

今回のEMAC-VLANを使うと,複数個のグローバルIPアドレスを使うことができます.
ISPの規約によっては,禁止されているところもあると思うので自己責任でお願いします. また,今回のブログ記事の内容が規約違反するなどあれば,ご連絡をいただければ幸いです.